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麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)

効能・効果

体力中等度なものの次の諸症: 関節痛、神経痛、筋肉痛、いぼ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)

麻杏薏甘湯の解説

麻杏薏甘湯は、体の表面近くにある「風(ふう)」と「湿(しつ)」の邪気を取り除くことで、関節や筋肉の痛み、そして皮膚のトラブルを改善する漢方薬です。

漢方では、気候の変化などによって体内に「湿(余分な水分や湿気)」が停滞すると、気血の流れが悪くなり、重だるい痛みや腫れが生じると考えます。麻杏薏甘湯は、穏やかに発汗を促して体表の邪気を発散させると同時に、利水作用によって体内の余分な「湿」を取り除くことで、これらの症状を和らげます。

特に、以下のような症状に用いられます。

  • 関節痛・神経痛・筋肉痛: 湿度の高い日や雨の日、あるいは体が冷えると悪化するような、重だるさを伴う痛み。リウマチ性の痛みにも応用されます。
  • いぼ: 皮膚の水分代謝を改善し、新陳代謝を促すことで、ウイルス性のいぼ(尋常性疣贅)を取り除く効果が期待されます。
  • 手足のあれ: 手足の湿疹や皮膚炎、主婦湿疹など、カサカサと乾燥しているが、根底に水分代謝の異常がある状態。

処方名の「薏(よく)」は薏苡仁(よくいにん)のことで、ハトムギとして知られています。薏苡仁は、水分代謝を整えると共に、皮膚をなめらかにする作用(消炎、排膿、美肌効果)があるため、本処方は痛みだけでなく皮膚症状にも応用されるのが特徴です。

含まれる生薬

麻杏薏甘湯は、処方名を構成する4種類のシンプルな生薬で成り立っています。

  • 麻黄(マオウ): 体表の邪気を発汗によって発散させます。鎮痛作用もあります。
  • 杏仁(キョウニン): 麻黄の働きを助け、発散作用を穏やかに調整します。
  • 薏苡仁(ヨクイニン): 主薬。ハトムギのこと。利水作用で体内の余分な「湿」を取り除き、痛みを和らげます。皮膚の新陳代謝を高め、いぼや肌荒れを改善します。
  • 甘草(カンゾウ): 諸薬を調和させ、炎症や痛みを緩和します。

関連処方との違い

  • 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう): 麻杏薏甘湯の「薏苡仁」が「石膏」に変わった処方。石膏は熱を冷ます作用が非常に強いため、あちらは激しい咳や喘息といった「熱性」の呼吸器疾患に用います。
  • 薏苡仁湯(よくいにんとう): 麻杏薏甘湯をベースに、さらに多くの鎮痛作用のある生薬を加えた処方。より慢性的で、冷えやこわばりが強い関節痛・筋肉痛に用います。