越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
効能・効果
体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、ときに尿量が少ないものの次の諸症: 関節リウマチ、湿疹、腎炎、ネフローゼ、脚気、関節炎、夜尿症
越婢加朮湯の解説
越婢加朮湯は、体内の「水」の巡りが悪化し、同時に「熱」がこもった状態(「水毒(すいどく)」と「熱邪(ねつじゃ)」)を改善する漢方薬です。
特に、比較的体力があり、以下の特徴を持つ症状に用いられます。
- むくみ(浮腫): 全身、特に顔やまぶた、手足がむくむ。
- 関節の症状: 関節が熱をもって赤く腫れ、痛む。関節に関節液がたまることもある。
- 皮膚症状: ジュクジュクとした滲出液を伴う湿疹や皮膚炎。
- その他: のどが渇く、汗をよくかく、尿の出が悪い。
強力な抗炎症作用と利水作用を併せ持ち、体の余分な熱を冷ましながら、停滞した水分を尿として排出させます。これにより、関節や皮膚の腫れ、痛み、むくみなどの急性の炎症症状を速やかに鎮めます。
現代医学的には、関節リウマチや腎炎、ネフローゼといった自己免疫疾患や腎疾患における浮腫や関節炎の治療にも応用される、重要な処方の一つです。
含まれる生薬
越婢加朮湯には、以下の6種類の生薬が含まれています。
- 麻黄(マオウ): 発汗を促し、体表の余分な水分を発散させます。咳を鎮める作用もあります。
- 石膏(セッコウ): 主薬。非常に強い清熱作用を持ち、炎症による熱感や腫れ、のどの渇きを強力に冷まします。
- 蒼朮(ソウジュツ): 利水作用に優れ、胃腸の働きを助けながら、体内の余分な湿気(湿邪)を取り除きます。(※メーカーによっては白朮(ビャクジュツ)で代用されることもあります)
- 生姜(ショウキョウ): 麻黄の働きを助け、胃腸を保護します。
- 大棗(タイソウ): 「ナツメ」の実。他の薬物の刺激性を緩和し、胃腸を保護します。
- 甘草(カンゾウ): 諸薬を調和させ、炎症や痛みを和らげます。
「越婢湯」との関係
越婢加朮湯は、元の処方である「越婢湯(えっぴとう)」に、利水作用を強化する「朮(じゅつ)」(蒼朮または白朮)を加えたものです。これにより、元の処方が持つ清熱・発散作用に加えて、よりむくみや関節の腫れに対する効果が高まっています。