平胃散(へいいさん)
効能・効果
胃がもたれて消化不良の傾向のある次の諸症: 急・慢性胃炎、胃アトニー、消化不良、食欲不振
平胃散の解説
平胃散は、漢方における代表的な「健胃薬(けんいやく)」です。処方名の「平胃」とは、胃を平らかに、つまり正常な状態に戻すという意味があり、特に胃腸に溜まった余分な「湿(しつ)」(=水分や消化しきれない飲食物)を取り除くことに主眼が置かれています。
この漢方薬は、主に以下のような「胃もたれ」タイプの消化不良に適しています。
- 食べ過ぎ、飲み過ぎによる胃もたれ、むかつき
- 食欲がない、食べても美味しく感じない
- お腹が張って苦しい(腹部膨満感)
- げっぷやおならが多い
- 口の中がネバネバする
- 軟便や下痢をしやすい
平胃散は、胃腸の働きを活発にし(健脾)、余分な水分や湿気を取り除き(燥湿)、気の巡りを良くする(理気)ことで、胃腸本来の消化・吸収機能を回復させます。
体力が中等度くらいの方で、特に舌を見ると、白くて分厚い苔(舌苔)がべったりと付いているのが、この処方を用いる重要な目安となります。これは、胃腸に「湿」が溜まっているサインです。
急な胃腸炎から、慢性的な消化不良まで幅広く応用されますが、キリキリとした胃痛にはあまり効果は期待できません。あくまでも胃の機能が低下して「もたれている」状態を改善する薬です。
含まれる生薬
平胃散は、胃腸の機能を整える6種類の生薬で構成されています。
- 蒼朮(ソウジュツ): 主薬。強力な利水作用で、胃腸に溜まった余分な湿気を発散させ、取り除きます。
- 厚朴(コウボク): 蒼朮の働きを助け、気の巡りを良くしてお腹の張りや膨満感を解消します。
- 陳皮(チンピ): ミカンの皮。気の巡りを整え、胃の働きを活発にします。香りによるリフレッシュ効果もあります。
- 生姜(ショウキョウ): 胃腸を温め、吐き気を鎮めます。
- 大棗(タイソウ): 「ナツメ」の実。胃腸を保護し、他の生薬の刺激性を緩和します。
- 甘草(カンゾウ): 諸薬を調和させ、胃の緊張を和らげます。