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香蘇散(こうそさん)

効能・効果

体力虚弱で、神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いものの次の諸症: かぜの初期、血の道症

(※血の道症:月経、妊娠、出産、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと。)

香蘇散の解説

香蘇散は、胃腸が弱く、デリケートな体質の方の風邪のひきはじめに用いられる、作用の穏やかな漢方薬です。処方名は、主薬である附子(こうぶし)と葉(よう)に由来します。

この処方の最大の特徴は、風邪薬の代表格である葛根湯などに含まれる**「麻黄(まおう)」を含まない**点です。麻黄は発汗作用が強い反面、胃に負担をかけたり、動悸を起こしたりすることがあります。そのため、香蘇散は麻黄が体質に合わない方、具体的には以下のような方の風邪に適しています。

  • 普段から胃腸が弱く、食が細い
  • 体力がなく、疲れやすい
  • 神経質で、ストレスを感じやすい
  • 高齢者や、妊娠中の方

症状としては、高熱が出るような激しい風邪ではなく、ゾクゾクとした寒気、軽い頭痛、鼻水・鼻づまり、食欲不振といった、比較的軽症の初期段階に用いられます。

また、香りの良い生薬が多く配合されており、気の巡りを良くして気分をスッキリさせる(理気解鬱)作用があるため、風邪だけでなく、ストレスによる気分の落ち込みや、原因不明の体調不良(不定愁訴)、女性ホルモンの乱れに伴う「血の道症」などにも応用されます。

含まれる生薬

香蘇散は、気の巡りを整える芳香性の生薬を中心に、5種類で構成されています。

  • 香附子(コウブシ): 主薬の一つ。気の巡りを良くし(理気)、胸のつかえ感や腹痛を和らげます。
  • 蘇葉(ソヨウ): 主薬の一つ。シソの葉のこと。体表の邪気を穏やかに発散させ、悪寒や鼻づまりを改善します。爽やかな香りで気分をリフレッシュさせます。
  • 陳皮(チンピ): ミカンの皮。気の巡りを整え、胃の働きを助け、痰を切りやすくします。
  • 生姜(ショウキョウ): 胃腸を温め、食欲不振や吐き気を改善します。
  • 甘草(カンゾウ): 諸薬を調和させ、急な痛みを和らげます。

他の風邪薬との違い

  • 葛根湯(かっこんとう): 体力のある方向け。汗をかいていない、首筋のこわばりを伴う風邪に。
  • 桂枝湯(けいしとう): 虚弱な方向けですが、自然に汗が出ている風邪に用います。
  • 香蘇散: 虚弱で胃腸が弱い方向け。気分がすぐれず、食欲不振などを伴う風邪に用います。