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麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

効能・効果

体力中等度以上で、せきが出て、ときにのどが渇くものの次の諸症: せき、小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、感冒、痔の痛み

麻杏甘石湯の解説

麻杏甘石湯は、激しい咳や喘息の発作に用いられる、漢方の代表的な鎮咳・平喘薬(ちんがい・へいぜんやく)です。

この漢方薬は、体内にこもった「熱」を冷ましながら、気管支の痙攣を鎮め、呼吸を楽にする作用に優れています。特に、以下のような症状を伴う、熱性・炎症性の呼吸器疾患に適しています。

  • コンコン、ケンケンといった乾いた激しい咳
  • ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴う呼吸困難
  • 口やのどが渇き、冷たい飲み物を欲しがる
  • 黄色く粘り気のある痰が出る
  • 顔が赤くなるほどの咳き込み
  • 発熱や体のほてり

主薬である**石膏(せっこう)は、非常に強力な清熱作用(熱を冷ます作用)を持ち、炎症を鎮めます。もう一つの主薬である麻黄(まおう)**は、気管支を拡張して呼吸を楽にする働きがあります。この「麻黄」と「石膏」の組み合わせが、本処方の核心部分です。

体力があり、症状の勢いが強い場合の、小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、肺炎、百日咳(ひゃくにちぜき)などに幅広く用いられます。風邪がこじれて、激しい咳だけが残ったような場合にも効果的です。

また、意外な応用として、炎症や腫れが強く、熱感を持って痛む「痔核(いぼ痔)」の痛みにも用いられることがあります。

含まれる生薬

麻杏甘石湯は、処方名を構成する4種類のシンプルな生薬で成り立っています。

  • 麻黄(マオウ): 気管支を拡張させ、咳や喘鳴を鎮めます(平喘)。
  • 杏仁(キョウニン): アンズの種子。麻黄と共に働き、咳を鎮め、痰を切りやすくします(止咳平喘)。
  • 甘草(カンゾウ): 炎症を和らげ、痛みを緩和します。また、諸薬を調和させ、石膏の冷やしすぎる作用を緩和します。
  • 石膏(セッコウ): 肺にこもった熱を強力に冷まし、炎症やのどの渇きを鎮める(清肺熱)中心的な生薬です。

他の咳止め漢方との違い

  • 麻黄湯(まおうとう): 麻杏甘石湯と構成が似ていますが、石膏の代わりに桂皮が入ります。こちらは体を温めて発汗させる作用が強く、悪寒が強く汗をかいていない、風邪のひきはじめの咳に用います。
  • 五虎湯(ごことう): 麻杏甘石湯に桑白皮(そうはくひ)を加えたもの。咳や喘鳴がさらに激しく、呼吸困難感がより強い場合に用います。
  • 麦門冬湯(ばくもんどうとう): 体を潤す作用が主で、体力がなく、顔が赤くなるほど咳き込み、痰が切れにくい空咳(からぜき)に用います。