大柴胡湯(だいさいことう)
効能・効果
体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症: 胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症
大柴胡湯の解説
大柴胡湯は、体力があり、がっしりとした体格の方に用いられることが多い漢方薬です。特に、ストレスや過食などによって「気」の巡りが滞り、体内に熱がこもった状態(漢方でいう「陽明病期(ようめいびょうき)」から「少陽病期(しょうようびょうき)」)を改善するのに適しています。
この漢方薬は、ストレスを発散させ、気の巡りをスムーズにし(疏肝解鬱)、体内の余分な熱を冷まし(清熱)、便通を促す(瀉下)作用を併せ持ちます。これにより、心身の緊張を和らげ、消化器系の機能を正常化します。
**胸脇苦満(きょうきょうくまん)**と呼ばれる、肋骨の下から脇腹にかけての部分が張り、押すと抵抗感や痛みがあるのが、この処方を用いる大きな目標となります。
がっしりとした体格の方の、いわゆる「ストレス太り」や、それに伴う便秘、高血圧、肩こり、頭痛、イライラ、口が苦い、食欲不振といった幅広い症状に応用されます。胆石症や胆のう炎、膵炎などにも用いられることがあります。
含まれる生薬
大柴胡湯には、以下の8種類の生薬が含まれています。
- 柴胡(サイコ): 主薬。ストレスを発散させ、胸脇部の張りや痛みを和らげます。
- 黄芩(オウゴン): 柴胡と共に働き、体の熱を冷ます作用があります。
- 半夏(ハンゲ): 吐き気を鎮め、みぞおちのつかえ感を改善します。
- 枳実(キジツ): 気の巡りを良くし、胃のつかえや腹部の膨満感を解消します。 -- 芍薬(シャクヤク): 筋肉の緊張を緩め、腹痛などの痛みを和らげます。
- 大黄(ダイオウ): 便通を促し、体内の熱や毒素を排出します。
- 生姜(ショウキョウ): 胃腸を温め、吐き気を抑え、他の生薬の働きを助けます。
- 大棗(タイソウ): 「ナツメ」の実。緊張を緩和し、胃腸を保護します。
これらの生薬が協力し、体の内側から熱を冷まし、ストレスを緩和し、便通を整えることで、心と体の両面から不調を改善していきます。
類似処方との違い
- 小柴胡湯(しょうさいことう): 大柴胡湯と同じく柴胡を主薬としますが、こちらは体力が中等度くらいの方に用いられます。大柴胡湯から大黄と枳実、芍薬を除き、人参と甘草を加えた処方で、瀉下作用はなく、より慢性的な炎症や体力の消耗に対応します。
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん): 同じく体力のある方の肥満症に用いられますが、防風通聖散は腹部に皮下脂肪が多い「脂肪太り」が目標となるのに対し、大柴胡湯は胸脇苦満があり、筋肉質でがっしりした「固太り」の傾向がある場合に適しています。