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不妊症

漢方医学から見た不妊症

漢方医学では、妊娠は母体の「気」「血」「水」のバランスが整い、「腎(じん)」の機能が充実し、子宮(血室)が温かく、血流が豊かな状態であって初めて成立すると考えます。不妊の原因は一つではなく、様々な体質の乱れが複合的に関わっていると捉えます。

  • 腎虚(じんきょ): 生命エネルギーの根源である「腎」の機能が低下している状態。生殖能力に直結します。
  • 瘀血(おけつ): 血行が悪く、骨盤内の血流が滞っている状態。子宮や卵巣に栄養が届きにくくなります。
  • 気滞(きたい): ストレスなどにより「気」の流れが滞り、ホルモンバランスの乱れにつながります。
  • 血虚(けっきょ): 体を栄養する「血」が不足しており、子宮内膜が厚くなりにくいなどの原因となります。
  • 痰湿(たんしつ): 体内の水分代謝が悪く、余分な水分や脂肪が溜まっている状態。

不妊症に用いられる主な漢方薬

西洋医学的な不妊治療と並行して、妊娠しやすい体質づくりを目的として漢方薬が用いられます。個々の体質に合わせて、以下のような処方が使い分けられます。

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 色白で体力がなく、冷え性で貧血傾向のある方の代表的な処方。「血」を補い、血行を促進し、水分代謝を整えることで、子宮環境を改善します。

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 比較的体力があり、のぼせや足腰の冷え、肩こり、月経痛など「瘀血」の症状がみられる方に用いられます。骨盤内の血流を改善し、子宮筋腫や子宮内膜症を伴う不妊にも応用されます。

  • 温経湯(うんけいとう) 手足がほてるのに、下腹部は冷えるという特徴があり、唇が乾燥しやすい方の月経不順や不妊に用いられます。体を内側から温め、「血」を補い、ホルモンバランスを整えます。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん) 体力があまりなく、疲れやすく、精神的なストレスやイライラを感じやすい方の月経不順や不妊に用いられます。「気」の巡りを改善し、ホルモンバランスの乱れを整えます。

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん) 加齢に伴い「腎」の機能が低下した「腎虚」の状態に用いられます。体を温め、生殖機能を高める効果が期待できます。

漢方治療は、効果が出るまでに時間がかかることもありますが、体の根本からバランスを整えることで、妊娠しやすい体づくりをサポートします。