漢方とは?漢方薬と生薬の基礎知識
漢方医学は、中国大陸から伝わった医学が日本で独自に発展した日本の伝統医学です。現在の日本では、現代医学を学んだ医師が漢方医学の考え方や漢方薬を診療に取り入れることがあります。
日本東洋医学会も、日本の漢方医学を「西洋医学を基盤とした伝統医学」として位置づけています。
- 日本東洋医学会: 漢方について
まず区別したい4つの用語
漢方
日本で発展した伝統医学の体系を指す言葉です。漢方薬だけでなく、診察の考え方や「証」「気・血・水」などの概念も含みます。
漢方薬
複数の**生薬(しょうやく)**を一定の組み合わせで用いる方剤です。医療用医薬品として承認されている製剤と、一般用医薬品(OTC)として販売される製剤があります。
「天然由来だから安全」「体質改善だけを目的にする薬」という意味ではありません。医薬品として、製剤ごとに効能・効果、用法・用量、注意事項、副作用があります。
生薬
植物・動物・鉱物などを医薬品原料として加工したものです。生薬一つの伝統的な位置づけと、その生薬を含む完成した漢方製剤の承認効能は同じではありません。
生薬を知りたい場合は生薬の一覧など各ページから確認できますが、服薬判断は製品の添付文書や医療専門職の確認が必要です。
証(しょう)
漢方医学で患者の状態を評価し、処方を選ぶ際に用いられる考え方です。単純な「体質診断」や、現代医学の病名と一対一で対応する診断名ではありません。
日本東洋医学会は、現代医学的な病名に基づいて漢方薬を使う方法と、漢方医学的な病態・病型を評価して処方を選ぶ方法の両方が、日本の臨床で用いられていると説明しています。
漢方医学と現代医学は「全身 vs 局所」ではない
現代医学と漢方医学を、片方は「局所・原因」、もう片方は「全身・体質」と一軸で二分すると、実際の診療を正確に表せません。
日本では、同じ医療者が現代医学的な診断・検査と漢方医学的な評価を併用することがあります。日本東洋医学会の診察解説でも、漢方専門医が画像診断や血液検査などの現代医学的評価と、漢方医学的な診察を並行して行うことが示されています。
| 観点 | 現代医学的な評価 | 漢方医学的な評価 |
|---|---|---|
| 主な情報 | 病歴、診察、検査、画像、診断基準など | 問診、望診、聞診、切診などの四診、証など |
| 処方判断 | 病名、病態、検査値、ガイドライン等を考慮 | 病名に加え、漢方医学的な病態・病型を考慮する場合がある |
| 関係 | 漢方と排他的ではない | 現代医学と排他的ではない |
この表は優劣や効果の大小を示すものではありません。
- 日本東洋医学会: 漢方の診察・治療について
漢方薬の有効性・安全性は処方ごとに確認する
漢方薬を一括して「冷えに強い」「更年期に強い」「アレルギーに強い」などと評価することはできません。
有効性・安全性は、どの処方・製剤を、どの病態に、どの条件で使うかによって確認する必要があります。医療用漢方製剤ではPMDAの添付文書で承認効能、用法、副作用、相互作用などを確認できます。
- PMDA: 医療用医薬品情報検索
- 厚生労働省eJIM: ご利用にあたって
eJIMは、科学的根拠に基づいた健康情報であっても、個々の患者さんへそのまま適用できるわけではないと注意しています。
保険診療で使われる医療用漢方製剤とOTCは別
日本では、薬価基準に収載され、健康保険診療で使用される医療用漢方製剤があります。
この制度は、一般用漢方製剤(OTC)や保険外で購入する製品まで一律に含むものではありません。一般用医薬品は別の制度で承認・販売されています。
- 厚生労働省: 医療保険が適用される医薬品について
- 厚生労働省: 要指導・一般用医薬品(一般用漢方製剤を含む)
自己判断だけで使わない
漢方薬も医薬品です。複数の漢方薬を併用すると、生薬が重複して副作用リスクが高くなることがあります。持病、妊娠・授乳、他の薬との併用によって注意事項も変わります。
また、発熱が続く、強い痛み、出血、呼吸困難、意識状態の変化など、強い・急な症状がある場合は、漢方薬だけで様子を見ず医療機関に相談してください。
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参照情報
- 日本東洋医学会「漢方について」
- 日本東洋医学会「漢方Q&A」
- 日本東洋医学会「漢方の診察・治療について」
- 厚生労働省eJIM「ご利用にあたって」
- PMDA「医療用医薬品情報検索」
- 厚生労働省「医療保険が適用される医薬品について」
(確認日: 2026-09-30)